■夏海フウスケの線画制作■



フォトショップを使って着色をするには、線画のレイヤー化はとても重要です。
CGの制作で最初に行わなくてならないこの作業は、多種多様、人それぞれで作成方法も異なります。
あなたの作風に、必ずしも夏海の方法で作り出す線画が合うかはわかりませんが、隅線を活かす絵を制作するにあたって、
こんな方法もあるという事で、あなたの制作の参考にして下さい。

ここで記述する手順は、Macintosh版・Photoshop5.5で行っているものです。
Adobe社の製品は、Mac版もWindows版もインターフェイスが同じになっています。(まったく同じでは無いですが...)
Windowsユーザーの方は、少し戸惑いもあるかもしれませんが、基本的には同じものなので、この手順で対応できると思います。


線画をセル画の様にレイヤーとして活用するには、白地部分(ヌキ)を完璧に透明化しなくてはなりません。
そこで、隅線の部分だけを抽出したいと思います。しかし白地部分を選択して消去するだけでは、隅線側のアンチエイリアス部分が残ってしまいます。
(着色した時、隅線の周りに極小の白いピクセルが残った事がありませんか…?)
そこで通常の作業レイヤーだけでは取り除けない、アンチエイリアスの極小のピクセルを、アルファチャンネルを使って取除きます。
アルファチャンネルの説明は、作業自体に必要では無いので省きます。ただアルファチャンネルを使えば、選択範囲が何時でも呼び出せて、グレースケールモード時にはその編集もできて便利であるという事だけ覚えておきましょう。

それでは、手順を説明致します…。


【下絵の取込み】
夏海はラフ画をトレス台を使用して、鉛筆でトレス線画を作成します。(以下の説明はそれが前提になっています)


action1>コンテクストメニューから[ファイル]→[読み込み]→[TWAIN対応機器からの入力…]

howto01.gif

フォトショップTWAINプラグインを使用して画像を取込みます。(私はEPSONのスキャナを使用しています)

howto02.jpg

スキャナのセッティングは以下の通りです。(EPSPNのTWEINスキャンユーティリティーでの設定になります)
原稿種−−−−−−−−[原紙台]
イメージタイプ−−−−−[白黒写真]なぜ?白黒写真かと言いますと=イメージモードはグレースケールになります。
出力機器−−−−−−−[スクリーン]
解像度−−−−−−−−[最終目的に合わせた解像度]以下は夏海の作品での数値で、いずれもA4原稿サイズ。
◎WEB専用の作品の場合:72dpi〜100dpi程度
◎ハガキくらいは出力するかも:100dpi〜150dpi程度
◎完全出力前提の場合:300dpi〜350dpi程度

夏海流ポイント!解像度は高ければ高いほうが良いと思いますか?そうとも言えないのですよ実は...。夏海の下絵は鉛筆トレス画なので、細かく細い部分、特にエッジの効いてる部分は鉛筆特有の擦れが生じてくるのです。(肉眼ではなかなか解らないのですがね...)高い解像度で取り込むと、そういった細密な部分までデータとして読み込んじゃうので、かえって汚く見えたり潰れたりするのですね。適度な解像度(大判出力には不向きなくらい)なら細密な部分を読み取りきれないので、かえって綺麗に取り込む事ができるのですね。高い解像度で取り込むには、それなりに完成度の高い下絵が必要なのです。つまりは、高い解像度取り込みは、”粗”まで取り込んじゃうって事なのです。


action2>スキャンユーティリティーから[取り込み]



今回は72dpiで取り込みました。原稿を白黒写真で撮影したという感じになります。

【取り込み画像の調整】
取り込んだ下書きは、無駄線や細かいゴミ、スキャン時のコントラストによる、本来の紙の色が出ていません。
ここでは、白であるべきところは白く、黒であるべきところは黒くと調整していきましょう。


action3>コンテクストメニューから[イメージ]→[色調補正]→[明るさコントラスト]



action4>[明るさ][コントラスト]△スライダーを動かして調整します。
夏海流ポイント!下絵の状態で違いはありますが、△は右(プラス)へ動かすのが基本です。[明るさ]と[コントラスト]の数値の差が、5〜10くらいの範囲が適正でしょう。ここでは線の黒さを意識するよりは、白をより白く明るくする事を考えて調整しましょう。線の黒はこの後のレベル補正でいくらでも黒くできるので、あまり気にしないで良いでしょう。ココではゴミ飛ばし、薄線飛ばしを重点にするのが夏海流です。



▲これは夏海の好みの数値です。スライダを右へ移動させて自分の好みの白を出してみましょう。



▲調整後の白黒のメリハリは、こんな感じになりました。この作業では、白はより白く、黒はより黒くといった感じで調整します。これで大抵の細かいゴミや無駄線も消えるはずですが、残ってしまっているものは[消しゴム]で処理して下さい。


action5>コンテクストメニューから[イメージ]→[色調補正]→[レベル補正]
次に、線の調整をレベル補正で行います。線の太さや、にじみをシャープに調整しましょう。
入力レベルの数値を任意に変えて線の調整をしますが、最初は
[自動設定]で合わせて、プレビューされた画面を見ながら、微調整を入力レベルの△スライダーを動かして調整するのがやりやすいです。





▲この入力レベルの数値は、夏海の下絵に合わせた数値です。
夏海流ポイント!レベル補正は線の調整の為のものと言っても過言ではないでしょう。下書きの線が太くたってココで調整すれば細くできます。作画でエッジの効いてる部分(髪の毛の束ねた先とか...)の潰れをみて調整していくのが良いでしょう。この調整で作画の雰囲気が決まってくるので、なっとく行くまで調整しましょう♪たとえばアニメ塗りの場合、メリハリのあるやや太さを意識した線にしたり、夏海の作品のような着色には、かすれが生じるくらいの細目の線など、着色の方法にによって線画も変えていくと全体の雰囲気がまとまりますよ。



▲こんな感じになりました。入力レベルの数値は、下絵の線の情況によって変わってきます。
鉛筆のトレス線と、インクでのトレス線では、数値も変わってくるので、あくまでもプレビューを見ながら、自分の好みの線に調整して下さい。ここまでの作業で、ゴミ取り・調整をすべて完了させておいて下さい。


【線画のレイヤー化】
さて、取り込み線画が完成できました、いよいよ本題の作業です。
理論は後から疑問に思った時に勉強すればいいですから、まずは手順をしっかり覚えましょう。


action6>コンテクストメニューから[選択範囲]→[全て選択]→[編集]→[コピー]







action7>チャンネルパレットで[新規チャンネル]を1つ作ります。



action8>▼作成されたレイヤー[アルファチャンネル1][チャンネルオプション]を呼び出します。



action9>[チャンネル名]”線画”と入力しておきましょう。他の設定は下図の設定で[OK]



action10>▼コンテクストメニューから[編集]→[ペースト]



▼真っ黒になっちゃいますが、ご心配なく。


 
action11>▼コンテクストメニューから[イメージ]→[色調補正]→[階調の反転]



▼写真のネガのようになってれば、成功です。



▼チャンネルパレットに[ブラック(K)]と、[線画]のレイヤーが出来ましたね。



action12>▼チャンネルパレット[ブラック(K)]のレイヤーを選択します。



action13>▼コンテクストメニューから[編集]→[消去]



▼消去した後のチャンネルパレットの[ブラック(K)]レイヤーのサムネールが何も無くなればOK。



action14>▼コンテクストメニューから[選択範囲の解除]



▼ここまでの作業で描画画面に何も表示されなくなればOKです。



action15>▼コンテクストメニューから[イメージ]→[モード]→[RGBカラー]



▼チャンネルパレットがRGBモードに切り換わりましたね。



action16>▼レーヤーパレットに[新規レイヤー]を1つ作ります。



action17>
▼作成されたレイヤー[レイヤー1][レイヤーオプション]を呼び出します。



action18>[レイヤー名]”線画”と入力しておきましょう。他の設定は下図の設定で[OK]

action19>▼コンテクストメニューから[選択範囲]→[選択範囲を読み込む...]



▼[選択範囲を読み込む]ウィンドウが現れます。



action20>[チャンネル]から[線画]を選びます。他の設定は下図のとおりで[OK]



▼描画画面にアルファチャンネルに保存された、選択範囲が読み込まれました。



action21>▼コンテクストメニューから[編集]→[塗りつぶし...]
注意!この時、先ほど作った[線画]レイヤーが選択されてるか確認してください!通常は手順どおりに進めてくれば[線画]レイヤーが、選択されています。
       



▼読み込んだ選択範囲が黒で塗りつぶされました。



action22>▼コンテクストメニューから[選択範囲]→[選択範囲を解除]



Finish!▼これで完成です♪



▼チャンネルパレットの表示内容が下図と同じになってればOKです。



▼レイヤーパレットの表示内容が下図と同じになってればOKです。



これで[線画]レイヤーの下に着色等の作業レイヤーを生成していけば、線画を触らずに着色が綺麗にできます。
さて、これはあくまでも完成トレス線画の取り込みを前提に手順を追ってきましたが、人によってはラフ画のまま取り込んでタブレットで線画を描いたり、パスを使って線画を作成してる人も居ると思います。
その場合出来上がった線画をグレースケールモードに変換して、action6からの手順で進めれば大丈夫です。


【おまけのTIPS其の1】
action19からの手順で描画色を変えれば、好きな色の線画が作れます。
一度黒の墨線で作ってからでも、action19から繰り返せば後からだって作る事はできます。
作画の雰囲気によって、線画の墨線の色も変えると全体の雰囲気が変わってきます。
それと、[焼き込み]や[覆い焼き]の効果を線画に行おうとした場合、”「黒”ではその効果は反映されません。
黒は色というか、墨です...カラーバランスも色相・彩度・明度も、0値、あるいはマイナス値になる色です。
したがって、色を構成するこの要素の無いものに、[焼き込み]や[覆い焼き]の効果は、まったく出ません。
それをふまえて、濃いグレー・あるいは濃い茶色などを使うと、線にも効果を与える事ができるのです。

▼描画色茶色を選んだ場合。



線画は茶色の線で出来上がります。



▼描画色赤色を選んだ場合。



線画は赤色の線で出来上がります。



こんな感じで、チャンネルを利用するととても便利ですね。
アルファチャンネルは線画以外にも利用価値はいっぱいあります。
難しい事は置いといて、選択範囲が保存できて、いつでも呼び出せると思って下さい。
実際、2Dの絵をフォトショップで描く場合、この利用ぐらいしか無いかもしれません。
アルファチャンネルレイヤーは、他の制作画面にも持ち込む事が容易にできるのも利点です。


【おまけのTIPS其の2】
フォトショップには便利な機能がついてるのですね。
最初に書いた通り、CG制作で線画制作は最初に行う作業で、必ずやらなきゃいけない作業なのです。
そこで、毎回この手順を見るのもかったるいので、一連の作業工程をアクションとして保存してしまいましょう。
これを作れば、下絵の準備だけやってしまえば、後はアクションパレットの再生ボタンを押すだけで、全て自動化されてしまうのです。下絵はその時々、調整値が異なってくると思うので、この自動化はあまりお勧めできませんが、少なくとも線画の
制作に関しては、自動化してしまうのが効率が良いと思います。

それではアクションパレット使い方を説明致します。

action6の手順から記録をはじめますが、記録をはじめる前に下準備をします。

▼1[アクションパレット][新規セットを作成]



▼2[名称]”オリジナルアクション”と入力します。そして[OK]



▼[オリジナルアクション]のフォルダが出来上がりましたね。



▲3[アクションパレット][新規アクションを作成]

▼4[アクション名]”線画制作”と入力します。



▲5[記録]を押すとアクションの記録が始まります。

■6下絵の準備、アクションセットの準備ができたら[記録]を押しましょう。

▼7[記録]を押します。action6からの作業を間違わないように進行します。



▲記録が始まると、[記録]ボタンが押されます。

▼もし途中で止めたい時は、■[再生/記録を中止]ボタンを使います。



▼こんな感じで記録されていきます。



▲Finish!そしてaction22まで行ったら、[再生/記録を中止]ボタンを押します。

これで次回からは、ボタン一つで線画の作成が出来てしまいます。
けして難しい事ではないので、やって見てください。
アクションの記録を作るには、同じ要素のファイルがあればいいので、記録用に小さなグレースケール線画を用意すればいいのです。もちろん原寸大の原稿で記録を行っても良いですが、手順さえ記録できればいいので、処理時間のかかる大きな画像を使う事はありません。


あとがき

今回、初めて"How to"的なものを作ってみました。
私はフォトショップの使い方を、市販されてるガイダンスから学び、試行錯誤の結果、自分なりの方法を見つけたりしています。ちゃんとしたレクチャーを受けた訳ではないので、お仕事としてこのソフトを使ってる方から見れば、間違いもおそらくあると思います。もっと効率の良い方法を知ってる方も沢山いると思います。そんな夏海が"How to"などおこがましい事なのですが、CGを制作する友人の制作のヒントにでもなればと思い、今回こういった形で記述してみました...。

夏海フウスケ